不登校に直面した時、保護者の方(本人も)が望んでいることはできるだけ早く、「普通の学校生活に戻る」ということではないでしょうか(どのような事を「普通」と呼ぶのかはまた別の難しい問題ですね)。不登校からの復学や進学は難しい事ですが、まずはそれを第一の目標とするのはごく当たり前のことでしょう。
短期で学校に戻るために、どのような準備が必要か、逆に言えばどのような状態にあれば、安心してお子さんを学校に送り出せるかということを考えてみましょう。そしてそのときには、学力よりもメンタル面を重視して頂きたいと思います。
学校に行けなくなって不安を覚える要素のひとつに、勉強に遅れてしまうということがあげられると思います。これはご本人もそうですが、保護者の方も当然感じられることだと思います。
しかしそもそも体調が悪かったり、気持ちの上でしんどいことがあって学校に行けなくなったのです。「せめて家で勉強だけでもしなさい」、と言われても、それはとても難しいものがあります。
もちろん学校に復帰したときに、授業にもすんなりと入って行ければ言うことはありませんが、そのことでプレッシャーを感じるよりは、またあとで取り返せるよ、学校に戻った時、分からないところがたくさんあったとしてもそれは仕方ないんだよ、と保護者の方が言ってあげることが大切ではないでしょうか。
実際に勉強するとしても、必要最低限の内容にとどめて、ご本人が、「みんなは大体今の時期はこのあたりを授業でやってるんだ」、ということが分かり、「でも学校に戻って落ち着いてから、勉強の遅れはいつかは取り戻せる」、と思えることが大事なことだと思います。
やはり復学、進学する際にはそうした学力よりも、メンタルがどれだけ回復しているかのほうが重要だと思います。どのようなきっかけで学校に行けなくなったにせよ、一度学校に行けなくなった状態からもう一度学校に通い出すというのは、とても勇気のいるものだからです。
学校はとても狭い世界です。登校すれば何より周りの目が気になりますし、自分が居ない間に学校はどんな変化があっただろうかと、とても不安になるはずです。
不登校からの復帰は決して焦らず、保護者の方も無理をさせずに気持ちの準備ができてからにして下さい。新学期や新学年、長期休暇開けや、それこそ中学から高校への進学など、分かりやすいい時期の区切りをきっかけにしてみるのもよいと思います。
そしてなにより、いったんは学校に通うようになったとしても、また不登校の状態に戻ることも珍しくありません。勉強について行けなかったり、生活リズムが戻らなかったり、まったく理由はないけどやはり学校に行きたくはない、となってしまうことはあるのです。
保護者の方はそうしてお子さんが一進一退を繰り返したとしても、そのたびに怒ったりするようなことは避けていただけたらと思います。粘り強く支えてあげて欲しいのです。